04:beruf baggageアイデンティティ

自転車を普段のライフスタイルに取り入れるには、それだけを購入しただけでは成り立ちません。乗りやすい一台に巡り会い、それと共に自分の使い方や好みに合った服やバッグなどが揃って、ようやく快適な自転車のあるライフスタイルに到達します。その中のバッグについて、ブランド設立当初からコンセプトの一つに“自転車”を掲げてきたバッグブランド“beruf baggage”のデザイナー佐野賢太氏にインタビューし、自転車とバッグの関係性や、バッグが広げてくれる自転車のあるライフスタイルの魅力について、ブランドコンセプト、メイド・イン・ジャパン、自転車通勤の3テーマに分けて、自転車関連の雑誌の編集、写真撮影に関わる編集者/フォトグラファーの石川 望がお届けします。第一回目は、“beruf baggage”のコンセプト、自転車との関係性について訪ねてみました。

自転車乗り向けのバッグとなると、サイクリスト自身が必要に迫られてデザインしているということをお聞きしますが、“自転車のある生活”をコンセプトに掲げた「beruf baggage」でも同様に、佐野さんのサイクリング実体験などを基にデザインしているのでしょうか?

beruf baggageは2006年に立ち上げたブランドです。それ以前の2003年に社会人になり、東京で1人暮らしを始めたときに、日常の移動手段として自転車を活用するようになりました。そのときに購入したアメリカの自転車ブランド「TREK」のクロスバイクで、雨風が酷いとき以外、東京都内は自転車で移動し、打ち合わせや営業はもちろん通勤なども、とにかくその自転車をフル活用してきました。そのように日常的に自転車移動を続けていた中で出てきたアイデアを、なにか形にしたいという思いがキッカケで、自転車に乗るときに使いやすいバッグをデザインし、手探りでメッセンジャーバッグのプロトタイプを作りました。

自転車で使いやすいバッグを追求する……、ということは、製品化までのブラッシュアップがかなり必要かと思いますが、ご自身がテストを担当されたのでしょうか?

プロトタイプのテストはもちろん自分が担当しています。バッグを実体験で試すだけでなく、街を駆け抜けるバイシクル・メッセンジャーにも話を聞いたりしながら、タウンユース向けの自転車バッグとして求められる機能とデザインをじっくり考えました。その後、メッセンジャーバッグを3モデル作り、beruf baggageを立ち上げました。ちなみに、バッグのテストを自分が担当できるというのは楽しみのひとつです!

写真上:暗闇で光る蓄光プリントのロゴ。使う人の生活に無理なく溶け込みながら、自転車に乗ったときに「お!」と思ってもらえるようなポイントをデザインとして取り入れたとのことで、最初のラインナップから現在まで貫いているポイントだ。

写真左:一番最初に作ったメッセンジャーバッグのプロトタイプ。実際にこれを背負って自転車移動しながら繰り返し改良をして製品版に辿り着いた。自転車に乗ったときの感動や便利さを忘れないように、今でも手元に残している。

beruf baggageには「Holiday Collection」と「S-Collection」の2つのシリーズがありますが、こちらはそれぞれ、どのようなコンセプトとなりますでしょうか?

2006年にブランドを立ち上げたときからマイナーチェンジを繰り返しながら展開し続けている「Holiday Collection」は、「たのしいをつめこんで出かけよう!」というコンセプトのもと、タウンユース・デイリーユース向けのアイテムを展開しています。基本的にはカジュアルなコレクションとなるので、通学や家族で過ごす週末に使えるアイテムが中心です。

一方、2011年から展開している「S-Collection」は、日常的に自転車を活用しているユーザーを強く意識したアイテムを展開しています。ギアとしての機能性を持ちつつ、そんなギアっぽさを感じさせないルックスを併せ持ったコレクションは、ライフスタイルを大事にしたい男性がオン・オフどちらでも使えるようにデザインしています。ブランドと共に自分自身が年齢を重ねてきたこともあり、立ち上げから5年経った時点で、改めて自転車とバッグの関係性を見つめなおして生み出した「S-Collection」は、ブランドの新たなスタンダードとなりました。

ライフスタイルは、時代や生活環境により変化し、進化しているかと思います。それに伴いberuf baggageのバッグは、今後、どのように進化していのでしょうか?

2015年の秋から「自転車+アクティビティ」というキーワードで新しいラインアップの展開を進めていまして、これまで提案してきた”自転車のある生活”に加えて、個々の仕事や趣味といった、より細かい要求に応えることができるアイテムを提案します。
まずは「ビジネス」「フィットネス」という部分から開発を進めて、どちらも2016年の秋頃にリリース予定です。とにかく、ブランドのコンセプトとして一貫しているのは、全てのアイテムが ”自転車のある生活” からのインスピレーションを基にデザインされているということです。
日常のツールとして自転車を上手く使いこなすライフスタイルという、シンプルで健康的な生活のサポートができれば嬉しいです。

春から初夏に向けて、自転車に乗るにはとても良い気候が続く時期を迎えている今、新たなライフスタイルを構築するにはとても良い機会だと思っています。そんな方々に向けて、beruf baggageのバッグを通して新たなライフスタイルのご提案ができると嬉しいです。

ありがとうございます。
自転車のある生活を軸にしたバッグ作りから広がる、ライフスタイルの提案と、背負って自転車に乗りたくなるようなアイテムの提案を、今後も楽しみにしています!

落ち着いたデザインだけれども機能的なアイテムというコンセプトのもと、2011年から新たに展開を開始したラインナップ「S-Collection」。写真はデザイナーの佐野氏が普段フル活用しているバックパックと通勤時の持ち物。

2015年の秋冬時期にリリースした「Urban Activity」シリーズのニューモデル。いちから開発したオリジナルの強撥水かつ超軽量の生地を使用し、シンプルなデザインに仕上げたアイテム。beruf baggageの新たなチャレンジのひとつ。

佐野賢太(さの けんた)1980年7月9日・埼玉県生まれ。
beruf baggageデザイナー。2006年に同ブランドを立ち上げ、メッセンジャーバッグ3アイテムからスタートし現在に至るまで、自転車のライフスタイルを提案するようなバッグを中心としたアイテムを提案する。趣味はサーフィンと音楽と自転車通勤。

著者・プロフィール

石川 望(いしかわ のぞむ)
自転車雑誌「Bicycle Magazine」の編集長、「Bicycle Navi」の編集に関わった後、自転車と写真をテーマとした「Bicycle Photo Magazine」を立ち上げた編集者兼フォトグラファー。国内外の自転車シーンや旅の写真撮影、ワークショップの講師など、自転車と写真・カメラに関係するアクションや、アウトドアやアパレルブランドの撮影や商品テストなどに関わる。

http://nozomuishikawa.tumblr.com/

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